実はお酢が使われている意外な調味料たち
普段の料理で何気なく使っている調味料には、実は、お酢が使われているものが多いあります。この記事では、意外と知られていない、お酢が使われている調味料をご紹介します。
マヨネーズ
ポテトサラダに欠かせないマヨネーズは、お酢と油を卵黄で乳化させてつくります。キユーピーマヨネーズさんによると、マヨネーズの配合例は7割が植物油、3割がお酢・卵・塩などだそうです。マヨネーズに含まれるお酢は、コクやクリーミーさをもたらしてくれるだけでなく、防腐効果もあります。
手作りマヨネーズは、乳化作用を観察できるため、親子でチャレンジできる知育料理としても人気があります。とば屋の壺之酢を使った自家製マヨネーズもぜひお試しください!
トマトケチャップ
子どもが大好きなケチャップは、甘みが強い印象の洋風万能調味料ですが、お酢が欠かせません。トマト自体が甘味・酸味・うま味を兼ね備えた野菜ですが、お酢を加えることで、味に深みを出し、バランスを整え、保存性を高めます。
カゴメさんによると、トマトケチャップに使っている醸造酢の原材料は、さとうきび、とうもろこし、キャッサバだそうです。他の原材料の味を引き立てるようなさっぱり系の味だと思われます。
ウスターソースなどソース系調味料
ソースといえば、とんかつやお好み焼きなど、さまざまな料理に使われる洋風調味料です。用途によって、甘さや辛さが異なり、複雑な味わいを持っています。ウスターソースだけでなく、とんかつソース・お好みソース・たこ焼きソースなども、お酢を使って調味されています。
お酢の配分が多くなるほど、さらっとした舌触りのソースになります。例として、お多福醸造さんの各ソースの原材料を引用させていただきました。
ソースの種類 | 原材料名 |
ウスターソース | 醸造酢(国内製造)、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、野菜・果実(たまねぎ、にんじん、りんご、その他)、食塩、アミノ酸液、醤油、香辛料、オイスターエキス、酒精、酵母エキス、ちりめんエキス、肉エキス、魚肉エキス、ホタテエキス/カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、香辛料抽出物、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
とんかつソース | 野菜・果実(トマト、りんご、プルーン、レモン、にんじん、たまねぎ)、醸造酢、砂糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、食塩、澱粉、酵母エキス(大豆を含む)、香辛料 |
お好みソース | 野菜・果実(トマト(輸入)、デーツ、たまねぎ、その他)、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、醸造酢、アミノ酸液、食塩、醤油、香辛料、オイスターエキス、砂糖加工品(砂糖、醸造酢)、肉エキス、酵母エキス、昆布、蛋白加水分解物、しいたけ/増粘剤(加工でんぷん、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉・もも・りんごを含む) |
たこ焼きソース | 野菜・果実(トマト、たまねぎ、りんご、デーツ、その他)、糖類(砂糖(国内製造)、ぶどう糖果糖液糖)、醸造酢、アミノ酸液、醤油、食塩、酒精、ウスターソース、香辛料、オイスターエキス、こんぶエキス、酵母エキス、肉エキス、蛋白加水分解物、魚肉エキス、ホタテエキス/増粘剤(加工でんぷん、増粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉・もも・りんごを含む) |
原材料表示は、重量順に表示する決まりとなっています。ウスターソースの方が、とんかつソースよりもお酢が主体になっていることがわかります。原材料表示をみると、野菜の種類を組み合わせて、全体で豊かな味わいを作り出していることが推測できます。
お多福醸造さんの創業製品はお酢です。広島のお酢屋さんだからこそ、広島のお好み焼きに合うソースが開発されたのかもしれません。福井県の嶺北地方のb級グルメ「ソースカツ丼」のソースは、丸城清酢さんが造られています。こちらもお酢屋さんがつくる調味料が、地域の食文化を盛り上げています。
とば屋のお酢も小浜市の食文化と深くかかわっています。お酢と各地域の食文化は密接に結びついていて、紐解いていくと、とても面白いのです!
焼肉のたれ・餃子のたれ・ごまだれなど、醤油タレ系調味料
焼肉のたれ、餃子のたれ、チヂミ、焼き鳥のタレなど、多くのタレ系調味料には、お酢が使われています。お酢は保存性を高め、味に深みとコクを与えます。
タレ系調味料は、醤油とお酢、砂糖の組み合わせが基本です。ごまだれの場合も、醤油と酢と砂糖に、練りごまが入っているので、醤油たれ系調味料に分類できます。逆にお酢が入っていないしょうゆ系調味料は、「つゆ」や「だし」と表現されることが多いようです。
- ノンオイルでヘルシーな万能たれ
とば屋の「お酢だれ」は、糖質を抑えて、さっぱり感を全面に出した万能たれです。焼肉やカツオのたたき、餃子のたれにおすすめです!
塩だれ
ネギ塩ダレとして手作りでも人気の塩ダレも、お酢が使われています。醤油を使わず、塩とごま油、お酢の酸味、薬味を組み合わせてつくります。塩が味付けの主体なので、どんな食材とも相性が良いのが特徴です。
ドレッシング
サラダにかけるドレッシングには、和風・洋風問わずお酢が使われています。ノンオイルドレッシングはよく見かけますが、『ノンビネガードレッシング』は見たことがありません。それほど、ドレッシングづくりにおいて、お酢は重要な位置づけにあります。
ドレッシングを振ると、乳化作用によってお酢と油が混ざります。しかし、時間が経つと、再び分離してしまいます。冷蔵庫から出したばかりのドレッシングが二層に分かれているのを見たことがあると思います。
ドレッシングを使うときは、使う直前にしっかり振って、お酢と油分を乳化させるのがポイントです。フレンチドレッシングや中華ドレッシングなど、ご家庭でも簡単につくれるので、ぜひ、挑戦してみてください。
- 子どもが喜ぶ魔法のドレッシング
とば屋酢店の和風ドレッシングは、ごまと醤油ベースのさっぱり味です。サラダドレッシングとしてもお使いいただけますが、今の時期は、冷やし中華にするのもおすすめです!トマトやきゅうり、わかめなどお好みの具材をたっぷり載せてお楽しみください!
ポン酢
ポン酢は、その名に「酢」が入っていることからも分かるように、お酢と柑橘の酸味を組み合わせた合わせ調味料です。さっぱりとした風味で、鍋の付けダレやお刺身のタレとして幅広く使われます。
とてもシンプルな調味料だからこそ、自家製調味料づくりの第一歩としておすすめです。調味料をつくるというと、大変な印象があるかもしれませんが、とても簡単に美味しく仕上がりますよ!
まとめ
お酢は多くの調味料に使われています。お酢が苦手と感じていらっしゃる方も、実は、普段からお酢を使った調味料を楽しんでいるかもしれません。
お酢は、お酢単独で使うよりも、他の調味料や食材と組み合わせた方が、その魅力を引き出すことができます。まさに、料理の「黒子」のような存在です。このブログでは、お酢の魅力を引き出せるような知識をもっと発信していきたいと思います。
皆さんも、ぜひ、自家製調味料をつくって、お酢を楽しんでください!
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。