甘柿から柿酢をつくる②~酢酸発酵編
こんにちは!ブログ担当の木林です。今回は、甘柿からつくる柿酢醸造の第2弾!『柿をアルコール発酵させて柿酒をつくり、さらに酢酸発酵させて柿酢にする』の後半です。
Q. 酢造りの過程でお酒をつくるのは酒税法違反ですか?
A. はい。法律違反です。したがって、一般のみなさまは真似してはいけません。
この記事の内容は、酢醸造業者であり、もろみの製造免許をもっているとば屋酢店が、できるだけ写真を多く使用しつつ、五感を使って表現をすることで、みなさまのお酢醸造に関する理解を深められるように、各工程を丁寧に紹介しています。
出来上がった柿酒のようす
アルコール発酵による発泡は完全に止まり、焼酎のようなお酒特有のにおいがします。マスクのフタをとると、どろりとした液体が。焼酎というと、どうしても高い度数のお酒をイメージしてしまうので、5%くらいの柿酒にできたとは思えません。度数が高すぎると酢酸菌は活動できないので、うまく発酵していることを祈るような気持ちです。
では、この柿酒(もろみ)を使って、お酢醸造の仕込みをしていきましょう。
【2-1】柿のカスと柿酒を分ける
粗目の金ザルにあけて、柿の実や種と柿酒を分けます。絞るのではなく、ゆっくり一晩置いて自然に液が落ちるのを待ちます。どろっとしているので、なかなか落ちません。念のため、虫よけにラップをかけておきしょう。
一晩たちました。柿の実と種がザルに残っています。濾過した液をみると、上の方が澄んでいて、柿の細かいもろもろが下に沈んでいます。この液が、柿酢の原料となるもろみです。ザルにあげた柿の実はジャムなどに加工することもあるようです。
【2-2】煮沸消毒したガラス容器に柿酒をうつす
きれいなガラス瓶に濾した柿酒を入れます。容器の7〜8割くらいまで入れた方が保温できます。空気中の酢酸菌が集まってくるように、フタをしないでおきます。
ガラス瓶の煮沸消毒のやり方はこちらの記事で画像付きでくわしく紹介しています。
【2-3】市販の酢を加えて、ガーゼなどで覆う
市販の酢を種酢として加えます。量は、柿酒の1〜1.5%。酢酸発酵開始時は、1.5〜2.0%の酸度に保つことが重要です。この酸度を保つことにより、雑菌が繁殖することを防ぎ、優秀な酢酸菌が集まりやすくなります。今回は、柿酒が700gだったので、とば屋の壺之酢を10g入れました。
酢酸発酵には空気が必要ですので、フタをしめるのはNGです。ショウジョウバエ対策で、ガーゼなどで覆って輪ゴムで止めておきます。今回も、手元にガーゼがなかったので、マスクで代用しました。
ガーゼの代用品として、マスクは便利でおすすめです!ひねって回せば耳掛けの紐で固定することもできますよ
【4】瓶を発泡スチロールに入れて35~40℃の場所に放置する
酢酸菌は、あたたかいところが好きで、35~40℃くらいの温度で元気に活動します。酢酸発酵が進み、菌膜が増殖してくると発酵熱を生じます。その熱を保温すればちょうど良い温度を保てるはずなので、保温性の高い発泡スチロールに入れます。寒い時期なので、保温がうまくいくかどうか次第です。
この時期はどうしても寒いので上手くいくだろうか…。
ここは雪の降る小浜で酢造りをしてきた、とば屋流の保温のワザを応用してみます。もみ殻お布団!
さらに過保護に、発泡スチロールのフタも付けてみます。
【5】うまくいけば20〜30日でお酢になる
このまま静置します。気になって触りたくなりますが、完全放置しなければいけません。成功すれば、液面に薄い酢酸菌膜がはってくれるはずです。雑菌が入って失敗すると、ぶよぶよした分厚い膜になるそうです。
また、30日ほどで結果をご報告します。お楽しみに♪
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。