お酢とダイエットの関係

お酢を知ろう

酢とダイエットの関係

今回は、ご購入後アンケートでいただいたテーマ「お酢とダイエットの関係」に切り込んでいきます。

ダイエットとは

「ダイエットしたい」と考える方は多いですが、その言葉が意味するところは「痩せたい(見た目)」「減量したい(体重コントロール)」「美しくなりたい(スキンケア・ボディケア)」「健康的な身体になりたい」など、人によってさまざまです。お酢には、健康や美容をサポートする効果がありますが、科学的な視点で語るのであれば、ダイエットという表現は漠然とし過ぎています。

そこで、この記事における「ダイエット」は、「痩せた体型を目的として、食事の量を制限したり、エクササイズや運動をしたりして減量すること」とさせていただきます。すでについてしまっている内臓脂肪とお酢の関係については、以下の関連記事で詳しく取り上げています。

一般的なダイエットは、運動や勉強・日常生活で消費するエネルギーよりも、食事で摂取するエネルギーを少なくすることで体重を減らします。(※参考:ダイエット | e-ヘルスネット(厚生労働省)

したがって、ダイエットの方法は、以下の2つ。

  1. ①食事で摂取するエネルギー(カロリー)を減らす
  2. ②運動などをして消費するエネルギーを増やす

①と②を同時にするのが望ましいです。それぞれのお酢との関係を見ていきましょう。

①お酢の摂取は、満腹感をもたらし、一日の総食事量を減らす説

お酢の摂取は、満腹感をもたらし、その結果として、一日の食事全体の量を減らす可能性があると言われています。(※1:Petsiou EI and others, 2014, ※2, ※3)

ある研究では、健康なボランティアの方に、食酢(1.1~1.7gの酢酸量)をパンと一緒に食べてもらい、食前と食後15分間隔で、空腹感と満腹感を主観的に評価してもらいました。すると、パンを食べただけの方の食後満腹感の評価が最も低く、お酢と一緒に食べた方が食後満腹感が増すという評価になったと報告されています。(※2:Ostman and others, 2005

また別の研究では、朝食に高血糖食(ベーグルとジュース、GI値81)と食酢を摂取した人は、その日の残りの食事を自由にしてもらったところ、一日のエネルギー消費量が約200~275kcal減少した方がいたことを報告しています。一方、低血糖食(チキンとライス、GI値48)と食酢の組み合わせの場合は、その後のエネルギー消費には影響がみられなかったそうです。(※3:Johnston and Buller, 2005

これらの研究は、お酢を摂取することで、満腹感をもたらし、その後のカロリー摂取量に影響を与える可能性があることを示唆しています。とくに、パンやごはんのような炭水化物と一緒に摂取したときに、結果として一日の総食事量を減らしてくれる可能性があります。

実際には、一つの食品成分が、すべての他の条件を覆すような大きな影響をもたらすわけではありません。食酢を一緒に摂ることで満腹感が生じたとしても、食べる量を減らさなければ、体内に入ってくるエネルギー量は変わりませんよね。まずは、自身がどれくらいの量を食べているのか記録し、毎食ゆっくり良く噛んで食べること、そして、食べ過ぎないことが健全な食生活の基本ではないかと思います。(※参考:ゆっくりよく噛んでたべていますか?|農林水産省

お酢は血糖値の上昇をおさえる効果がある

お酢と満腹感の関係については、血糖値の上昇抑制効果と同時に検証されることが多いです。

上記の研究でも、酢酸が食後の血糖値の上昇をおさえる効果があることを確認しています。このような、血糖値の上昇を緩やかにする食品のことを低GI食品といいます。GIとは、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを数値化したものです。

お酢と満腹感の関係から学べることは、血糖値を急上昇させてしまう炭水化物などの高GI食品であっても、お酢と一緒に食べることで、血糖値を上げずに、満腹感を保ちつつ、自然に食事量を減らすことにつなげられるという点だと思います。

GIという指標を極端に考えて炭水化物を抜いてしまう方もいるようですが、炭水化物は人間が活動するために必要なエネルギー源です。少なすぎるのも多すぎるのも良くありません。お酢は、適切なコントロールをサポートしてくれるものだと考えて、栄養バランスのとれた食事と一緒にいただくのが良いと思います。

②お酢が脂肪の燃焼を助ける可能性はあるが、運動による消費に比べて非常に小さい

お酢が消費エネルギーを増やすという説は現在のところ、提唱されていません。一部の研究では、お酢が脂肪の燃焼を助ける可能性が示唆されています。(※4:KONDO and others, 2009)しかし、これによるカロリー消費の増加は、運動によるものと比較して非常に小さいと考えられます。

つまり、お酢の摂取だけで大きなカロリー消費や体重減少が期待できるわけではないということです。常に、バランスの良い食事と適切な運動を行なうことが重要です。

まとめ

お酢の摂取は満腹感をもたらし、とくに、朝食でお酢を摂取すると、一日の総食事量を自然に減らすことにつながる可能性があります。しかし、お酢だけに頼るのではなく、バランスの良い食生活と適切な運動も忘れずに行なうことが重要です。お酢の力を上手に活用し、より健康的な生活を送るための一助としてください。

【参考文献】
※1:Eleni I Petsiou, Panayota I Mitrou, Sotirios A Raptis, George D Dimitriadis, Effect and mechanisms of action of vinegar on glucose metabolism, lipid profile, and body weight, Nutrition Reviews, Volume 72, Issue 10, 1 October 2014, Pages 651–661,
※2:Östman, E., Granfeldt, Y., Persson, L. et al. Vinegar supplementation lowers glucose and insulin responses and increases satiety after a bread meal in healthy subjects. Eur J Clin Nutr 59, 983–988 (2005).
※3:Johnston CS, Buller AJ. Vinegar and peanut products as complementary foods to reduce postprandial glycemia. J Am Diet Assoc. 2005 Dec;105(12):1939-42.
※4:Tomoo KONDO, Mikiya KISHI, Takashi FUSHIMI, Shinobu UGAJIN, Takayuki KAGA, Vinegar Intake Reduces Body Weight, Body Fat Mass, and Serum Triglyceride Levels in Obese Japanese Subjects, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Volume 73, Issue 8, 23 August 2009, Pages 1837–1843

中野 貴之

中野 貴之

酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目

「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。

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