梅の果実酢『梅の酢』ですっきり爽やか!夏のサワードリンクを仕込もう
6月です。梅仕事の季節がやってきました!梅酒や梅シロップは比較的簡単に手作りできるので、自家製を仕込む方も少なくないでしょう。今年は、ぜひ、梅の果実酢づくりにも挑戦してみませんか。ジメジメした梅雨とじわじわ迫りくる夏の暑さに負けないように、爽やかで美味しい梅の酢ドリンクを今から仕込んでおきましょう!
とば屋でも初夏の梅の実を数か月漬け込んだ梅の酢を秋限定で販売しております!2023年度分の販売が開始されたので、どうぞお試しください^^ 数量限定なのでお早めに!
梅の酢とは?梅酢と梅の酢の違いについて
青梅を酢に漬けてつくる梅酢漬けを、とば屋酢店では「梅の酢」と名付けて、商品名として呼んでおります。これは、塩分を使わずに青梅と糖をお酢で漬けこんでつくる果実酢で、主に希釈して、飲むお酢ドリンクとして利用します。炭酸水を加えれば、梅サワーと呼ばれることもあります。
一方、梅酢は、梅の実を塩漬けにしたときに出てくる塩分を含む酸味の強い汁のことをいいます。主に、クエン酸が主成分で、梅干しをつくるときに副次的に作られます。塩味が強いので、あまり利用されておらず、お料理の調味料や畜産飼料としての新しい活用が模索されています。
梅酢と梅の酢の違いを整理すると、塩味と酸味が主体のものが梅酢で、甘味と酸味が主体のものが梅の酢であると言えます。この記事では、梅の果実酢について言及しています。
梅の酢づくりに良い梅は6月上旬の大粒で固い青梅です
春の訪れを告げるように新春に咲いた梅の花は、やがて散り、小さな実をつけます。5月頃、小さな小梅がなっていることに気づくことでしょう。この時期の梅は小粒すぎて、物足りなく、香りも少ないので加工するにはまだ早いです。また、未熟期の梅はカビやすいです。
5月下旬から6月上旬頃になると、梅の実はしっかり大きく、引き締まってきます。この時期の青くて固い梅は、梅シロップや梅の酢、梅酒づくりにピッタリです。6月下旬になると、梅は熟しはじめます。品種によっては黄色くなる前に落果してしまうので自分で手に入れるのは難しいかもしれません。
梅は成熟すると黄色になったり、しわしわになったりして、見た目も成分も変化します。梅干しにするなら完熟梅です。さらにほんのり赤く色づいて柔らかくなった超完熟梅は、梅ジャムなどに利用されます。ちなみに、熟しすぎた梅を、梅酒や梅の酢づくりに使うと、実が崩れて透明感を損ねることがあります。
梅の木の生育状況や地域によって、熟す時期にズレが生じるので、実際に、梅の実の様子をよく見て収穫するとよいでしょう。お店で梅の実を購入する場合も、梅の色味や大きさ、固さをよく見て選んでくださいね。
有機酸たっぷりで三毒を断つ!梅の栄養成分
梅は、さくらんぼや桃、リンゴと同じバラ科の果実です。日本人に馴染み深い果物で、古くから薬用に使われてきました。その象徴的な言葉が日本最古の医学書『医心方』に書かれています。「梅は三毒を断つ」。これは食中毒、日射病、水あたりに効くことを意味するそうです。(※参考:身近な生活にある薬用植物 梅|くすりの博物館)
梅の実には様々な栄養成分が含まれています。なかでも、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸類がたくさん含まれているのが特徴です。一般財団法人梅研究会さんのサイトに文献付きでまとまっていたので、引用させていただきます。
梅のすっぱい味はこの有機酸によるものです。有機酸は、梅果実中に4~6%(中略)程度含まれています。梅の主な有機酸はクエン酸であり、次いでリンゴ酸、シュウ酸が多く、少量の酒石酸、乳酸、酢酸、コハク酸も含んでいます。まだ熟していない青梅にはリンゴ酸が多いですが、熟していくに従ってクエン酸が大部分を占めるようになります。
梅に含まれる成分とその作用|梅を知る|一般財団法人梅研究会
クエン酸は、運動後の血中乳酸濃度を低下させる作用があることから、疲労回復作用があると言われています。(※参考文献:三宅ほか(2001)|日本栄養・食糧学会誌)梅をお酢に漬けると、梅のさまざまな栄養成分が酢に溶け出します。お酢由来の有機酸だけでなく、梅由来のさまざまな有機酸も混ざり合うことで、よりまろやかな口当たりに仕上がります。また、時間とともに、梅の芳醇な香りをまとうようになり、非常に飲みやすく、琥珀色で美しい果実酢をつくることができます。
簡単!梅の酢の作り方
材料
- 梅 中12~14個程度(約200g)
- 壺之酢(純米酢) 300cc
- 氷砂糖(お好みで黒砂糖)200g
作り方
- 1.青梅を水でよく洗い、水を切ります。
- 2.青梅の梅のなり口の軸を取ります。
- 3.氷砂糖、梅、壺之酢の順に入れます。
- 4.軽くかき混ぜてください。
- 5.常温で1ヶ月程度。梅は時間がかかります。
- 6.氷砂糖が溶けたら出来上がりです。
(時々、容器をかき混ぜると氷砂糖が早く溶けます)
梅の酢漬けで使った梅を最後まで楽しむ活用法
とば屋酢店では秋になると『梅の酢』を販売します。地元福井県で開発された『新平太夫』という品種の福井梅を使っています。この梅の酢づくりにつかった梅の実も、季節限定・数量限定で販売しています。隠れた人気商品です。
酢漬けの梅は梅干しのようにそのまま食べても良いですし、刻んで、軽く塩をしたキュウリや長芋などと和えても良いです。爽やかな梅和えの酢の物となります。また、潰して梅ドレッシングづくりに使うのもオススメです。最後まで、梅の酢と酢漬け梅をお楽しみください。
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。
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