桜の香りを活かしたい!さくら酢の個性が光るレシピ研究記
こんにちは、ブログ担当の木林です。とば屋の春の名物、さくら酢。今年も多くの方にお求めいただいております。当店では、さくら酢をより美味しく、より楽しんでいただけるように、実際にさまざまな食材との組み合わせを試してレシピを研究しています。この記事では、その成果を皆さんに共有したいと思います!
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桜の香りってどんな香り?
皆さんは「桜の香り」を思い浮かべることができますか?初めてさくら酢を手に取った当時の私の場合、何のイメージも思い浮かびませんでした。お花見の時を振り返っても、桜の花って、そんなに香りのある花だったかしら?という疑問を抱くばかり。おそるおそる、さくら酢を開封して鼻を近づけてみると・・・
桜の塩漬けを使った桜茶の香りだ!
急に記憶と結びつきました。桜餅や桜茶の香りで、バニラに似た芳香臭とも言われます。これは、桜の花や葉に含まれているクマリンという物質によるものです。実は、ソメイヨシノの桜の花には、クマリンがあまり含まれていないため、桜の花と香りが結びつかなかったという訳です。
【参考PDF】桜の香り -大阪市立科学館
とば屋のさくら酢は、信州の八重桜の花びらを一年間お酢に漬け込んで造っています。少し甘さを感じるような芳しい香りが特徴の甘酢です。この香りを、上手にお料理に活かしたいですね。
さくら酢の香りを活かすには、匂いの癖のない食材と合わせよう
さくら酢を上手に使うためには、さくらの香りを活かす素材と組み合わせるのがコツです。別の言い方をすると、クセや香りの強いものと組み合わせると、匂いでケンカします。
たとえば、大葉。ちらし寿司の緑の彩りに使いたくなりますが、大葉は香味野菜の代表格とも言われるほど独特の香りをもっているため、衝突します。緑を使いたいなら、スナップエンドウや絹さやなど、匂いが軽い野菜を選ぶと良いでしょう。
また、さくら酢自体が甘い香りなので、苦味のある食材と組み合わせると、味覚と嗅覚がちぐはぐになり、違和感を覚える場合があります。私の場合、酢の物の王道キュウリで試したところ、苦味が立ってしまうように感じました。
逆に、相性が良いと感じたのは、かぶらや長芋、蓮根などの白い野菜です。でんぷん質のお野菜や、寒さを乗り越えて糖分を蓄えた甘い冬野菜を使うと良いでしょう。このように、食材の相性を考慮して、さくら酢を使うと美味しい料理を考えることができます。
さくら酢はすし酢と比べると少し酸味寄り
さくら酢は、「すし酢ベースの合わせ調味酢」ですが、とば屋のすし酢と比べると少し酸っぱいです。むしろ、食べ比べをすると、通常のすし酢の甘さに驚くと思います。
さくら酢の場合、ちらし寿司にするのが王道的な使い方ですが、どんな食材にも合うとば屋のすし酢と比べると、相性の良しあしがあると感じています。手巻き寿司なら、通常のすし酢を使う方が個人的にはおすすめです。
さくら酢を使うお寿司なら、いなり寿司がおすすめ。甘めに炊いたお揚げにさくら酢飯を詰めると、味のバランスが良いです。お弁当にも入れやすいし、食べやすいのでお子様にも人気ですね。
それから、押し寿司もおすすめです。写真映えもバツグン!
これも、甘めに炊いた椎茸や人参を入れると良いと思います。私は卵とスナップエンドウで彩り良く仕上げてみました。ちらし寿司の場合も、椎茸の甘煮は必ず入れたいです。
さくら酢のピンク色は”ほんのり”程度
さくら酢は、すし酢として使うのが王道です。通常のすし酢と比べると、色の違いが際立ちます。桜の花に含まれるアントシアニン色素がお酢に溶け出して、薄紅色を呈しているのです。着色料を使わずにさくらの花の天然色素で美しい色を出しています。
実は、さくら酢を白いごはんと混ぜて使うと、桜の香りは立っているものの、お米が鮮やかなピンク色に染まる訳ではありません。ほんのり色づく程度なので、もしかすると違いに気づかない方もいらっしゃるかもしれません。
また、クマリンの独特の香りを嗅いでも、すぐに桜の香りと結びつかないこともあります。実際に私も「この匂い、知ってるけど何だっけ!?」という会話を家族と食卓でやりました。
正体の分からない匂いは少しドキドキしてしまうものなので、できれば分かりやすく、桜を連想しやすい見た目を整えてあげることも重要ではないかと考えます。お料理の仕上がりは総力戦です。
見た目からも桜を連想できるようにするには、桜でんぶを使うのが一番簡単です。見た目の華やかさに砂糖の甘さ、さくら酢の爽やかさが揃って、食べやすいお寿司になりますよ。
酢の物やピクルスには、少し刺激を追加して
上述の通り、通常のすし酢に比べて酸味寄りの甘酢なので、酢の物に使うときは「甘味」を追加してマイルドにするか、塩で下処理して「塩味」を追加するか、「辛味」を追加して刺激的にした方が美味しいと思います。個人的には、唐辛子の輪切りでピリ辛にするのがおすすめです。
オリーブオイルと混ぜて桜の香りが引き立つサラダドレッシング
さくら酢は「桜の香り」が特徴のお酢で、バルサミコ酢と同じように使うとレシピの幅が広がります。バルサミコ酢は、ぶどう由来の甘みや香りが特徴で、オリーブオイルと混ぜてソースやドレッシングとして使われることが多い果実酢です。同じように、さくら酢もオリーブオイルと混ぜ合わせると、風味豊かな味わいに仕上がります。
オリーブオイルが一番合わせやすいですが、最近注目を集めている「こめ油」や「アボカドオイル」などと合わせてみても良いかもしれませんね。
もう一つ、おすすめな方法をご紹介します。粉ゼラチンを使って、さくら酢ジュレにしてみてください。さくら酢自体は、もともとすし酢なので、さらさらした液体です。これを食材と絡みやすくするために、ゼラチンでとろみをつけます。
ジュレ化すると、香りを閉じ込めるので、口に入れた瞬間に桜の香りが広がります。サラダドレッシングとしても、メインディッシュのソースとしても華があるので、おもてなしレシピにぴったりです。
はちみつと混ぜてスイーツソースに
こちらもバルサミコ酢と同じような使い方になります。さくらの甘い香りを活かして、スイーツに使います。このさくら酢ソースは、フルーツにかけたり、アイスクリームやワッフルにのせてデザートプレートにすると良いです。
はちみつが結晶化している時は、加熱します。加熱によって水分が飛んでしまうと、飴化するので注意が必要です。この飴がまた、美味しいんですけどね!
日本の春をギュッと閉じ込めたさくら酢は、おもてなしに使える逸品です。当店でも、新しい使い方、活用法をいろいろ試しています。みなさんの声をレビューやおはがき、instagramなどでお聞かせいただけると幸いです。
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。