お酢の保存方法・賞味期限について
美味しいお酢を余すことなく最後まで楽しめるように、お酢の保存方法をまとめました。
醸造酢の保管の仕方は?
未開封の醸造酢は、直射日光を避けて、冷暗所で保存します。開栓後もできるだけ涼しいところで保管してください。長期間保存する場合は、冷蔵庫での保存をおすすめしています。キャップを必ず閉めること、瓶は立てておいてください。空気に触れるお酢の表面積を小さくすることで、酢酸発酵が進むのを抑えるためです。
醸造酢に別の調味料を混ぜた調味酢は、必ず冷蔵庫で保存してください。
お酢を開封したらどれくらいもちますか?
醸造酢の開封後は、冷暗所保存で1年を目安に使用してください。
お酢は、ピクルスやらっきょう漬けなどの保存食にも使われるほど防腐力・殺菌力の高い調味料です。これは、お酢の主成分である酢酸が、強い酸性であるため。強酸性の環境では、細菌や微生物は増えることができません。つまり、常温保存であっても基本的に腐ることはありません。
しかし、一度開封すると、自然界にいる酢酸菌が瓶内に入り込み、再発酵が始まり、お酢が白く濁ったり、繊維状の浮遊物が発生することがあります。体に害を与えるわけではありませんが、風味を損ないますので、ご使用は控えてください。
また、他の調味料とあわせたり、自家製の合わせ酢をつくるために、水で薄めたりすると、酸による殺菌力は低下します。したがって、出汁入りポン酢や三杯酢などの合わせ酢は、開封後、冷蔵庫で保存してください。
当店のすし酢など塩分や糖分が相当量入っている合わせ酢は、食塩やその水分活性から常温でも再発酵を起こしにくいものもあります。
私どもとしましては、安心してお酢を使い切っていただくため、よりフレッシュな風味を保つため、再発酵を防ぐため、冷蔵庫での保管をおすすめしております。
お酢の賞味期限について
米酢・穀物酢の賞味期限は、全国食酢協会中央会が作成したガイドラインにより2年間と定められています。
食酢は、それ自体に防腐力があり、保存性の高い食品です。他の加工食品とは異なり、微生物による品質の変化は少ないです。しかし、色や香り、味などは時間とともに劣化していきます。そこで、風味(色、香り、味)の変化や濁り、沈殿物の発生を賞味期限の目安としています。
詳細は、以下のガイドラインをご覧ください。
食酢の賞味期限設定の考え方(抜粋)
お酢を美味しく長持ちさせる3つのコツ
お酢を美味しい状態で保存するには、酢酸菌の再発酵を抑えるのがポイントです。
まずは、保存時に、空気に触れないよう、しっかりボトルのフタを閉めていただくことが大切です。そのうえで、以下の3つのコツを意識してみてください。
①ときどき揺らして酢酸発酵を防ぐ
長期間お酢を使わないときは、時々、瓶のまま中の液体を揺らしましょう。揺らすことで、酢酸菌の再発酵を防ぐことができます。これだけで、驚くほど長持ちします。
②冷蔵庫で保存する
酢酸菌は、30℃前後の常温で静かに置いておくと繁殖しやすいです。従って、長期間使わないときは冷蔵庫に入れておくと、酢酸菌の繁殖を防ぐことができます。
③食塩を加える
米酢の場合、約1%ほどの食塩を加えておくと、酢酸菌の再発酵を防ぐことができます。食塩を加えるので飲み物用には不向きです。酢酸菌は食塩に非常に弱い特徴を生かした保存法です。
手軽なお酢習慣に「お酢差し」を活用しませんか
健康のために、毎日大さじ1杯のお酢を習慣化したいと考える方は多いと思います。しかし、お得な大瓶で買うと、保存場所から毎回出してくるのはなかなか億劫なものです。大きいですし、重いですし、冷蔵庫に入れておこうにも、場所を取ってしまいます。
そこで、普段使いにピッタリの「お酢差し」のご提案です。「しょうゆ差し」ならぬ「お酢差し」は、注ぎ口のついた小さな瓶にお酢を入れておきます。食卓にも出しやすく、使いやすく、冷蔵庫にも入れておきやすい!とても便利なアイテムです。
とば屋酢店でも「テーブル壺之酢」という商品があります。さっと酢醤油を作ったり、スープに数滴だけお酢を入れて味を変えたいときなどに便利です。「お酢差し」に入れ替えるので、大瓶のお酢は冷暗所保存でOK。「お酢差し」は必ず冷蔵庫で保存してくださいね。
また、お酢差しの容器は、入れ替えの際に毎度よく洗って、熱湯などで殺菌していただくことをおすすめいたします。
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。