自家製合わせ酢のコツ。美味しいお酢の合わせ方
最もポピュラーな酢の使い方。それが、合わせ酢です。合わせ酢は、食酢に醤油や砂糖、塩などの調味料を加えたもので、二杯酢や三杯酢、甘酢などが一般的。また、最近では、みそや卵、ごま、香味野菜などを加えて、香りも風味も新しい合わせ酢が次々と考案されています。
合わせ酢だけでなく、和える素材も変えれば、味のバリエーションは無限大。旬の素材を使って季節感を出したり、素材の持ち味を活かしたりして、毎日の献立に変化をつけてみませんか。この記事では、さまざまな自家製合わせ酢をご紹介します。
自家製合わせ酢づくりで失敗しないために
まずは、レシピ通りに配合しましょう!特にお酢は、塩と酸のバランスが命なので、少しでも材料の配分が変わると、カドが立ってしまいます。正確に計量することが求められますので、お菓子作りの時と同じように、計量スプーンを片手に合わせてみましょう。
レシピの配合に慣れてきたら、次は、好みの味にチューニングです。味をみて、塩や砂糖を減らしたり、酢を増やしたり。スパイスを追加したり、お酢の種類を変えてみたり。オリジナルの調合でご家庭の味を創り出してみてください。
上の写真は、「ソース、たれドレッシングレシピ1300」という料理本の1ページです。ぜひ拡大してみてください。材料が2つのはずの二杯酢のレシピだけでも、A~Hの8つも掲載されています。それぞれ有名な料理研究家の方のレシピです。二杯酢なのに、塩も出汁も使っています。つまり、決まった正解などないのです。自由に調合を楽しんで、それが美味しいと感じるものであったら、それで良いのです!気楽に合わせ酢を楽しんでくださいね。
簡単!合わせ酢の作り方
定番の二杯酢(1:1)
二杯酢は、しょうゆとお酢を大さじ1杯ずつ混ぜ合わせて作ります。最もシンプルで、あらゆるものに利用できる定番の合わせ酢です。一杯ずつ、合わせて二杯ということで、二杯酢と呼ばれます。
タコ・イカ・貝類など、うま味のある食材の和え物におすすめです。オレンジ・キウイなどフルーツとの相性も実はGOOD!果物の深みを感じるポン酢風の和え物となり、とても美味しいです。
食べやすく使いやすい三杯酢(1:1:1)
三杯酢は、酢、みりん、しょうゆを混ぜ合わせて作ります。それぞれ大さじ1ずつ合わせるので、合わせて三杯、三杯酢というわけです。二杯酢に比べ、みりんの甘さが加わるので、より食べやすくなります。魚貝類、野菜など何でも合います。
三杯酢のレシピを調べると、砂糖派とみりん派がいます。本みりんを使う場合、アルコールが含まれている点に注意が必要です。お子さまが食べる場合は、加熱してアルコールを飛ばす必要があります。お砂糖を使った方が手間はかからないでしょう。お砂糖だと甘くなりすぎるので、控えめにするのがポイントです。
さらに手間がかからないようにしたのが、とば屋の三杯酢「お手間かから酢」です。さっと混ぜるだけであっという間に酢の物ができるので、とても便利と評判の商品です。リピート率も高く、長くご愛用いただいています。酢の物初心者の方におすすめです。美味しいですよ!
甘酢(すし酢)
甘酢は、酢、砂糖、塩を混ぜ合わせて作ります。三杯酢はしょうゆを使うのに対して、甘酢は塩を使うのがポイント。透明感のある仕上がりになります。甘酢は、すし酢としても使われています。また、らっきょうや新生姜の甘酢漬けにも使われています。
ゆでた豚肉、玉ねぎ、炒り卵、キュウリなどの食材と相性が良いです。手巻き寿司をイメージしてもらうと、キュウリや薄焼き卵、ツナマヨなど、様々な素材に合う万能調味料だとご納得いただけるのではないでしょうか。
手巻き寿司におすすめの食材はこちらの記事にまとめています。参考にどうぞ♪
みぞれ酢(おろし酢)
材料は、酢、砂糖、塩、大根おろし。甘酢に大根おろしを追加したのが、みぞれ酢です。すりおろした大根の辛味が良い仕事をしてくれます。辛味が苦手な方は、かぶらを使うと甘い仕上がりになります。
もったり・こってりした食材と合わせるのがおすすめです。かき、なまこ、貝柱、なめこ、オクラ、りんご、柿、さんまなどと合わせてみてください。
吉野酢
材料は、酢、砂糖、しょうゆ、葛粉。三杯酢に、水溶き葛粉を入れて、火にかけることでとろみをつける合わせ酢です。葛粉の産地として有名な奈良県吉野地方にあやかって、吉野酢と言われます。
とろみをつけると食材によく絡み、味をまとわせやすくなります。また、艶が出て、一層美味しそうに見えるのもポイント。葛粉が手に入らない場合は、片栗粉でとろみをつけてもOKです。魚貝類、鶏・豚肉、れんこん、しいたけ、三つ葉、うどなどがおすすめ。
ごま酢
材料は、白ゴマ、砂糖、酢、塩、だし汁。ここからはだし汁を使った合わせ酢が続きます。だし汁を少しだけ用意するのが難しいという場合は、鰹節を水に付けてパックに入れてレンチンしてしまいましょう。
ごま酢は、甘酢に出汁と胡麻の風味を効かせた合わせ酢です。ごまドレッシングよりも酸味が強いので、夏場におすすめ。おしゃれなすり鉢で胡麻をゴリゴリすると、丁寧な暮らしという感じがして素敵ですが、お忙しい方は練りごまを使えば簡単に作ることができます。相性の良い食材は、えび、鶏肉、さやインゲン、くらげ、青菜、きゅうり、ごぼうなど。
土佐酢
材料は酢、しょうゆ、砂糖、かつおの削り節。三杯酢にかつお節を加えて作る合わせ酢です。かつお節の産地として有名な土佐(高知県)にあやかって、土佐酢と言われます。
かつお出汁の旨味成分や香りによって、酸味はマイルドに。お酢が苦手な方でも食べやすくなります。お鍋の付けダレとしても優秀です。魚貝類、山芋、大根、こんにゃくなどがおすすめですが、本当に万能調味料で合わせやすいです。ぜひ、いろいろな食材で試してみてください。
しょうが酢
材料は、酢、砂糖、塩、しょうゆ、だし汁、生姜のすりおろし汁。私のイチオシの合わせ酢です。生姜好きにはたまらないシャキッとした味で、水炊き鍋や湯豆腐のつけダレにすることもあります。
生姜とお酢の組み合わせといえば「酢生姜」がありますが、合わせ酢なら漬け込み時間は不要なので、すぐに出来るのが嬉しいですね。かに・あじ・まぐろ・貝柱・山芋・わらび・菜の花などがおすすめです。
ポン酢しょうゆ
合わせ酢のイメージは薄いかもしれませんが、ポン酢もれっきとした合わせ酢です。ポン酢には、しょうゆ無しポン酢としょうゆありのポン酢があります。それぞれの違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、よければご一読ください。
標準的なポン酢しょうゆは、橙(だいだい)の果汁と酢、しょうゆ、だし汁を混ぜ合わせてつくります。鍋物のたれとして使われることが多いですが、もちろん酢の物・刺身のつけつゆ、蒸し物にも利用できます。しょうゆの代わりに使える便利な合わせ酢です。
他にも、わさび酢、松前酢、たで酢、けし酢、柚子の皮を入れた柚香酢、木の芽酢、加減酢、酢味噌、卵黄を使った黄身酢、キュウリのすりおろしを使ったみどり酢、磯ごろもなど、いろいろな合わせ酢があります
材料200gに対する合わせ調味料の配合の目安
実際には各家庭や個人の好みに合わせてチューニングするので、ここでは一般的な指標として調理師読本で紹介されている配合の目安をご紹介します。
種類 | しょうゆ | 食塩 | 食酢 | 砂糖 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
二杯酢 | 15ml | 15ml | |||
三杯酢 | 4ml | 1.5g | 15ml | 6g | |
甘酢 | 2g | 15ml | 8~14g | (みりん24~42ml) | |
ごま酢 | 2g | 15ml | 4~12g | ごま10~20g | |
吉野酢 | 4ml | 1.5g | 15ml | 6g | 吉野くず1g |
合わせ酢を使った和え物を美味しく食べるコツ
合わせ酢は、副菜の定番である和え物づくりに大活躍です。最後に、美味しく和えるコツをご紹介します。どんな和え物でも、必ず食べる直前に和えるのがポイントです。長く時間をおくほど、味は低下します。
味が低下する理由は、和えごろもの調味料の塩分によって、食材の水分が出てきてしまうからです。水分が出てくると、和えごろもの味がぼやけてしまいます。また、食材の持ち味である香りや歯切れの良さなどの食感も変わってしまいます。
和えごろもが、食材の表面をムラなく覆っているだけで、材料の内部へは塩や酢が浸み込まないようにするのがベスト。従って、和えたらすぐに食卓に出すのがよいとされています。
とば屋自慢の合わせ酢を紹介します
自慢の壺仕込み米酢をたっぷり使い、昆布だしベースで食べやすい味に仕上げました。
具材にサッとかけてひと揉みすれば、簡単においしい酢の物が出来上がります。ごま油やオリーブ油を加えれば、ドレッシングに早変わり。まとめ買いトップになる人気商品です。
- 塩ポン酢 360ml
和食にも洋食にも合う万能調味料の塩ポン酢は、ゆず・すだちの天然果汁と若狭の天然塩を使用。お醤油を抜いた、新感覚のあっさり味です。
【参考文献】
『ソース、たれドレッシングレシピ1300』グラフ社【ISBN:9784766205701】
赤堀千恵美著『たれ・ソース・ドレッシング』グラフ社【ISBN:9784766204711】
杉田浩一著『「こつ」の科学 調理の疑問に答える』柴田書店【ISBN:9784388251124】
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。
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