蟹にはかに酢が合うって本当?美味しいかに酢を考察してみた
師走といえばカニですね!ズワイガニの美味しい季節になりました。みなさん、こんにちは。ブログスタッフの木林です。先日、とば屋酢店13代目の中野さんから若狭のセイコガニをいただきました。セイコガニ(勢子蟹)とは、メスのズワイガニのことで、地域によっては「コッペガニ」「香箱ガニ」などと呼ばれることもあります。
カニは、とば屋のすし酢と壺之酢を合わせたカニ酢につけて食べると美味しいですよ
カニって酢をつけて食べるんですか!?
実は私、セイコガニはかなり好きなので毎年食べるくらいなのですが、酢を付けて食べたことはありませんでした。福井県小浜市で300年続く老舗のお酢屋当主の中野さんが仰るのであれば、絶対美味しいに違いない。今回は実食レポート形式で、カニとお酢のおいしさの秘密に迫っていきます。
なぜカニ酢をつけて食べるのか?
飲食店のカニ料理では、カニと共にカニ酢が供されることが多いようです。もともとかに酢は、新鮮でないカニの臭みを消すために利用されていました。
カニ酢を使うのは新鮮でないカニ、言い方は悪いですが古いカニの臭みを誤魔化すために「酢」を使っているのです。昔、流通が悪く内陸部では新鮮なカニが手に入らなかった頃の「知恵」ですね。
はまさか日記~澄風荘しょうふうそう~
上のカニソムリエの宿の方の記事では、カニのおいしさの鍵は「塩」にあると書かれています。「酢」については、どちらかというと否定的な意見ですね。
カニ酢は好き嫌いのわかれるつけダレのようです。そもそも、酸っぱいものが苦手という方は多いですね。唐揚げにレモンをかけるかどうかでさえ、意見が大きく分かれるものなので、さもありなん。お酢屋さんとしては、酸味の魅力をもっと伝えなければいけないところです。
とば屋13代目おすすめのカニ酢の作り方
①とば屋のすし酢と壺之酢を混ぜるだけ。完成!とっても簡単!
味くらべもしたいので、すし酢だけ、壺之酢だけのバージョンも作っておきました。
ではセイコガニを頑張って解体していきましょう。コツコツどん!
さばきながらカニみそをずるずるとつまみ食いしましたが、めちゃくちゃ美味しいです。新鮮なカニはそれだけで最高です。
カニ酢は旨いのか【食レポ】
カニ刺しです。まずは、そのまま何も付けずに食べます。
ああ、旨い。これこれ。今年も冬が来たって感じがします。カニみその旨味は濃く、ぎゅっと凝縮されているし、もうこの記事は終わりで良いんじゃないか。
いや、ダメだめ。今回はカニ酢をつけて食べるのです。
(・・・ちょっとだけちょん。)
(・・・ぱくっ)
えっ!?えっっ!!??!? うっっっま!
ちょっとビックリして、語彙力が消えました。すごい。美味しい。
どういう感じかというと、カニ味がはっきりするのです。おかしいですよね。カニってそれだけでも、かなり味のはっきりした食材なんですけど、ちょっとカニ酢を付けるだけで、カニ味がハッキリくっきりするのです!
めっちゃ美味しい・・・!でもこれ、ひとくちカニ酢で食べてしまうと、付けないで食べることが物足りなくなってしまうかも。カニを贅沢にたくさん食べられるときの、後半戦におすすめのつけダレですね。
また、カニみそは、もともと味が濃いので付けない方がいいです。逆に、セコガニの卵は付けたほうが美味しい。確信しました。かに酢は、カニの臭みを取るだけではない。美味しいから、かに酢をつけるのです。
ちなみに、米酢である壺之酢単体よりも、すし酢(甘酢)の方が合っていると感じました。すし酢と壺之酢を合わせるのは、酢の量の違いなので好みかも。私はすし酢だけの方が好きです。
これだけカニがお酢に合うのであれば、カニの酢の物は絶対美味しいに決まっている
ほらー!!!美味しい!!なんて贅沢な酢の物なんだ!
まてよ。すし酢がこれだけ合うってことは。
酢飯の上にカニのほぐし身をのせたカニ飯は最高なのでは?
ほらー!!!めっちゃ美味しいじゃん!!!もう言うことないです!
【考察】カニとお酢の関係は塩味と酸味の関係
カニ味がはっきりする理由を科学的に考察してみると、お酢と塩味の相互関係に理由がありそうです。
お酢の酸には少量であっても塩味を増強させる効果があります。そして、塩味といえば、料理のうま味を引き立たせるものです。
ズワイガニには、グルタミン酸をはじめ、複数のうま味成分が豊富に含まれています。まず、うま味成分の相乗効果によって、うま味は飛躍的に強くなります。加えて、適度な塩分にはうま味をさらに増強させる効果もあります。【参考PDF】日本人の味覚と嗜好(伏木 亨)
つまり、お酢によってカニが美味しくなるロジックは、
お酢の酸味で塩味が増強される⇒塩味でうま味がさらに引き立つ⇒旨い!
という式が成り立っているのです。
酸味と塩味とうま味。それぞれがお互いに関係しあって、おいしさを生みだしている。まさに、料理は科学という言葉を体現するような関係ですね。
美味しいカニ酢は、そのまま舐めても酸っぱくない塩梅で
よくカニ酢は合わないと言われますが、それは酸味の配分が強すぎるのではないかと思います。私自身、純米酢だけをつけてカニを食べたら、やはり酸っぱい印象が強くなって、カニの良さが飛んでしまったように感じました。
酸が強すぎても、塩が強すぎてもカドが立ってしまうもの。そこで、よい塩梅を模索するところに料理の奥深さがあるわけです。カニ酢のおいしさもまた、その深淵にあるのかもしれません。
とは言え、やはり手軽に美味しくカニ酢で食べてみたいですよね。そんな方には、とば屋のすし酢がおすすめです。壺仕込みの米酢を使った絶妙な配合で、手巻き寿司などに大活躍のすし酢ですが、カニ酢としても逸品。
素材の味だけでなく、人の手によって作られた調味料「お酢」で、さらなるおいしさを引き出す。自然と文化の恵みを味わえる最高の体験です。とば屋のすし酢でどうぞお楽しみください!
この記事で使われている商品のご案内
中野 貴之
酢醸造家/(株)とば屋酢店 第13代目
「お酢のことならなんでもご相談ください」がモットー。お客様に「また使いたいと思っていただけるお酢」をお届けできるよう社員と力を合わせて精進中。セミナー講師も時々お引き受けします。
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